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不妊症
不妊症とは
夫婦間で正常な営みを過ごしていて、2年経つにもかかわらず子供に恵まれない場合を不妊症と定義しています。正常な夫婦の80%は結婚後1年以内に、残る20%のうち10%は2年以内に妊娠すると一般的にいわれています。
不妊症の原因
不妊症の原因は、女性の側の問題だけではありません。不妊症の原因の50%は男性側にあり、また、夫婦の双方に原因がある場合もあります。さらに、検査をしても原因が発見できないケースも30%程度はあるのです。男性側の原因の多くは、精子の量が少なかったり、運動量に問題があったり、精子に関する原因がほとんどなのに対して、女性は卵巣、卵管、子宮などさまざまな所で原因を有することが多いのです。女性の不妊の原因を、妊娠の過程を追って見ていきましょう。まず、卵巣から排出された卵子は、卵管の中を進みます。 一方、膣から入った精子も子宮を経て、卵管に入っていき、卵管内で卵子と出会って受精します。受精卵は、分裂を繰り返しながら子宮に向かい、子宮内膜に着床します。着床した時点ではじめて、妊娠が成立します。この妊娠の過程のどこかで障害があると、妊娠しにくくなります。具体的には、次のような部位での原因が考えられます。
・ 卵巣での障害
普通は、卵巣から月に一度、成熟した卵子が排出されますが、不妊症の場合、まったく排出されないか、時々しか排出されないので受精できません。卵巣に原因があるのは、不妊症の女性のうち3人に1人ぐらいの割合です。
・ 卵管での障害
卵管が癒着していたり、詰まっていると、卵子が卵管を下ることができず、したがって精子と出会えず、受精できません。3人に1人ぐらいが、卵管に障害のあるケースで、女性の晩婚化で、このタイプは増える傾向にあります。
・ 子宮での障害
子宮での障害
子宮の形が異常な場合や、子宮内膜症。子宮筋腫などの疾患があると、受精卵が子宮内膜に着床しにくくなります。女性不妊の原因の10%が、このタイプです。
 そのほか、子宮の入り口(頸管)に原因があることもあります。頸管が炎症を起こしていたり、頸管の粘液が精子と適合しないなどで、精子が頸管に入っていけないため、妊娠が成立しません。
不妊症の治療法
女性不妊の治療には次のようなものがあり、検査の結果に照らし合わせ、最も適した治療を選択していきます。
・ 排卵誘発剤
排卵を促す薬を用いる方法です。卵巣に異常があり、正常な排卵が行われていない場合に服用します。軽度であれば、およそ3周期ほど低容量ピルなどの卵胞・黄体ホルモン配合剤を服用し、下垂体からの性腺刺激ホルモン分泌を整えていきます。無排卵周期症や第一度無月経などの中等度には、クロミフェンなどの抗エストロゲン作用を有する薬剤を使用します。これは月経5日目より5日間服用し、その後の排卵を促す方法です。第二度無月経などの高度の排卵障害に対しては、hMG(ヒト閉経後尿由来性腺刺激ホルモン)製剤が用いられます。
・ 体外受精
卵巣から成熟した卵子を取り出し、試験管内で精子と人工的に受精させます。その後、分裂を始めた受精卵を48時間培養し、子宮に戻して着床させます。 対外受精は、卵管に障害があり、卵子と精子が出会えない場合に適しています。
・ 卵子と精子を卵管に入れる
卵子と精子を試験管内で人工的に受精させて、培養せず、すぐに卵管に戻します。受精の状態を、より自然に近づけることを考慮して開発された治療法です。
・ 顕微鏡による卵管手術
卵管は直径0.4㎜程度の細い管なので、顕微鏡を用いて、詰まった個所を広げる手術を行います。妊娠成功率は15%程度です。
・ 子宮の手術
子宮に不妊の原因がある場合は、子宮の異常を改善したり、子宮筋腫や子宮内膜症を治療し不妊の原因を取り除きます。
 
 問題点
技術革新によって登場した新しい治療法は、不妊の問題に光明を与えましたが、現実には、少なからず問題があります。例えば、不妊治療には健康保険が適用されないため、1回の体外受精に平均30万円ほどかかります。しかも成功率は14%程度です。何回も繰り返して行う事が多く、かなりの出費を覚悟する必要があります。また、治療を行った結果、妊娠した場合にも問題があります。排卵誘発剤はもちろん、体外受精でも双子以上を妊娠(多胎)する可能性が高く、多胎は、早産や超未熟児の危険性があり、赤ちゃんが出産後にハンデキャップを背負う事も考えられます。
漢方では?
漢方では、不妊症だけを治療するのではなく、症状や体質等の身体全体を整えるのが目的です。その結果として妊娠しやすい体をつくるようにします。
妊娠しにくくなっている原因には、大きく"冷え"と"瘀血"があります。冷えにも全体的に冷える場合と、足は冷えているが、頭はのぼせている場合があります。のぼせがある場合は冷えのぼせを改善して、上の血と熱を下半身に返し、全体の血巡りを良くして、肩こり、頭重、生理不順が改善してくると、赤ちゃんもでき安くなってきます。
漢方薬の服用により、自然妊娠率があがったり、排卵が正常になったりするというデータもでています。
養 生
血液も気も使う所に集まる習性があります。
神経質の人は色々なことを考えて、常に脳を使っていますので、気も血も頭の方に上がって、首や肩、脳みそが凝り、自立神経までも凝って失調をきたし、ホルモン分泌のバランスもくずれてくるのです。
この上衝(のぼせ)は歩くことで足腰に、腹式呼吸で臍下丹田に下がっていきます。
食養生では、生野菜、果物、乳製品類は身体を冷やし、冷え性を悪化させます、土から下にできる食物は上にあげる作用がありますので控えめに取ったほうがよいでしょう。
身体が弱ると心も弱りますから、過労にならないよう、睡眠もできるだけ多くとりましょう。
笑うと身体も笑います。しかめると身体もしかめます。できるだけ笑うようにしましょう。
症例
症例
結婚八年目になるが、子供ができないと来店される。これまでに産婦人科で、ホルモン療法や漢方療法をやったりしたがうまくいかない。漢方療法は、ツムラの漢方薬で、当帰芍薬散、加味逍遥散、桂枝茯苓丸を服用してきた。
 三年前からは体外受精も数回おこなってきたが、うまくいかない。体外受精は苦痛をともなうし、費用もかかるのでもうやめて、もう一度、漢方療法をためしてみたいと来店された。
 現在の症状をたずねてみると、冷え症で腰腹が冷える。冬になると靴下をはかないと寒くて眠れないくらい足が冷えるといわれる。
 しかし、顔色を見てみると、のぼせて赤みがあり、ややくすんでお血色になっている。時々顔がほてるときがある。口唇も乾燥している。
 漢方で言うところの上熱下冷、のぼせ冷えである。
 生理は不順で、早くなったり、遅れたりすることがある。肩凝り、頭重を訴え、生理の前後に悪化すると言われる。大小便、食欲には問題はない。
 性質は時々いらいらする時があるが、目はさほどとがってはいない 、先から先えと考えるタイプで、子供ができない事に焦りがうかがえる。
 
投薬と経過
・ 平成十二年六月
 経を温める漢方薬で、腰から下の冷えが強く、上半身に軽いのぼせ症状があるタイプの生理不順、不妊症によく使われる漢方薬と、下腹部の古血をめぐし、のぼせ冷えがある人の上下のバランスをとってくれる漢方薬を服用してもらいました。
 元来、冷え症の体質の人が、先から先へと考える性分と子供ができない焦りのために気の上昇(のぼせ)を引き起こしたのでしょう。気のエネルギーに引っ張られて血も動きますので、血液も又身体の上の部分に集まり、上熱(顔の赤みとほてり、口唇乾燥、)がおこり、それと反対に腰から下は血液不足をおこして、下冷(腰腹の冷え、足冷)をおこしてきます。子宮も冷えて、精子の動きも悪くなってきます。
 又、体外受精を重ねたり、年を重ねるにつれて下腹部にお血ができて血のめぐりが悪くなってくるのも原因のひとつとなります。
・平成十二年七月
 
出産
一ヶ月の服用により、のぼせ冷え、肩こり、頭重などの症状が軽くなり、体調も気分もよいといわれる。
①②を30日分投与
これから十五日後に妊娠したと喜びの連絡がはいる。
 桂枝茯苓丸を半量にして、以後出産までの間、体調に合わせて、一日一~三回服用して頂き、無事に出産されました。
 現在、親子ともに元気で、子育てに頑張ってあります。