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下痢
下痢とは
 人間の体内では、1日に約8㍑の水分が吸収されています。そのうち1㍑程度が大腸での再吸収です。そのため、大腸の水分吸収する働きが弱くなったり、炎症などで粘液などの分泌が増えると、水分を含んだ便となり、下痢を引き起こします。
 下痢の多くは、お腹の冷えや消化不良で起きる一過性のもので、安静にしていれば治ってしまうことがほとんどですが、中には注意が必要の下痢もあります。
急性の下痢
 急激に起こる下痢で、烈しい腹痛を伴うなど、症状が重い場合は「食中毒」や「ウイルス性の胃腸炎」などが考えられます。
下痢止めで下痢を止めてしまわない方がいい状態の時もありますので、医療機関の受診や薬局への相談をおすすめします。
慢性の下痢
 下痢が繰り返し起こるものの中に「過敏性腸症候群」があります。
また、便秘と下痢を繰り返すようになったり、体重減少や出血を伴う場合は「潰瘍性大腸炎」や「大腸癌」などの病気が原因の可能性があります。これらの症状があるときは、一度病院で検査をされてみることをおすすめします。

 その他に、「不規則な食事」「運動不足」「ストレス」など、自律神経の働きを低下させるような生活習慣も下痢と深く関わっています。
〈消化管の仕組み〉
 食べたものは、食道を通り、胃や十二指腸で消化された後、小腸で更に消化され、栄養や水分の約9割が吸収されます。小腸で吸収されなかった食物と水分は大腸に行き、大腸では更に水分が吸収されて便が形作られていきます。その後便は直腸にためられ、便として肛門から体外に排出されます。
 便秘や下痢は、消化管の働きに何らかのトラブルが生じることによって起こります。
腸の健康状態は、精神状態や食生活の影響を受けやすいため、生活習慣を見直して腸にやさしい生活をおくることが大切です。
・バランスのよい食事をとる
 偏った食生活は、腸内環境を悪化させ、腸のトラブルを起こしやすくします。
例えば、ファーストフードやインスタント食品、外食が増えると、脂質や炭水化物が多くなり、野菜や海草類、豆類が少なくなりがちです。また、食品添加物を多く含むことが多いため、腸内の善玉菌の働きが低下しやすくなります。
香辛料やアルコールノのとりすぎも腸を刺激し、負担になります。

 私達の腸内には、約100種類、約100兆個もの細菌が住みついているといわれています。腸内細菌には身体によい影響を及ぼす「善玉菌」と、悪い影響を及ぼす「悪玉菌」があります。更に「日和見菌」という善玉菌と悪玉菌のバランスが崩れたときにトラブルを起こす菌もあります。
 善玉菌と悪玉菌は、食生活や健康状態によって、その数が増減しますが、健康な腸内では善玉菌と悪玉菌のバランスが保たれています。
 私達の腸内細菌のバランスをとり、善玉菌の働きをよくするのに最適な食べ物が、ご飯と味噌汁を基本とした食事です。特に味噌汁やぬか漬けなどの発酵食品はおすすめです。
また、過食で肥満すると胃腸の働きが悪くなってしまいますので、和食の粗食を中心に、腹6~8分で美味しくいただくことが大切です。
こういった食事を続けていると腸内環境がよくなり、排便が整いやすくなります。

・ストレスの少ない生活が腸の健康をつくり出す
 脳と腸は、自律神経によって結ばれています。そのため、脳がストレスを感じると、自律神経のバランスが乱れ、腸も影響が現れます。
適度なストレスは身体にも必要ですが、現代はストレス社会といわれるように、過剰なストレスを抱え込む人が増えています。
ストレスとうまく付き合うために、たまには、ゆっくり自分の好きなことをする時間をつくる、睡眠をしっかりとることなども大切です。
分かっていても、その時間も取れない方におすすめしたい方法が・・・
(ⅰ)呼吸を意識する
 イライラしたり、ストレスを感じたときに、吐く息と吸う息に意識を向けてゆっくり数呼吸行なってみて下さい。日頃意識せずに行なっている呼吸に意識を向けて、ゆっくり行なうことで、肺の気(漢方医学では肺には陽気が宿っていると考えられている)がめぐり、気持が和らぎます。
(ⅱ)笑う、笑顔を作る
 イライラしたり、ストレスを感じたときに笑ったり、笑顔を作るのは少し難しいかもしれませんが。笑ったり、笑顔を作ったりすることには、気をめぐらせ、免疫機能も高める効果があります。
つくり笑いでも交感神経過剰をゆるめる働きがあるといわれています。

・運動をする
 便をうまく排泄するためには、腹筋や肛門括約筋の力が必要なので、ウォーキングやストレッチなど適度な運動を心掛けましょう。
漢方では?
 胃に入った水穀(飲食物)は、小腸から膀胱に行って小便となって排出され、また小腸から大腸に行って大便となって排出されます。
この胃から小腸、膀胱、または胃から小腸、大腸への伝道が順調に行なわれないときに便秘や下痢になります。そのため、排便異常は脾虚(脾の弱り)からおこることが原則です。
しかし、下焦(下半身)を支配している腎の弱り(腎虚)も腸に影響を与えますし、肝虚(肝の弱り)は腎虚を伴うことが多く、ストレスに関係しやすい臓でもあるため、排便異常に関係します。漢方医学の五行説の考えでは肺と大腸は表裏の関係にあるため、肺虚(肺の弱り)からも排便異常が起こります。
つまり排便異常は五臓のどこが病んでも現れる可能性があるため、漢方治療ではどの臓に弱りが生じ、何がその弱りをつくり出しているのかを探り、弱りを補い、原因を減らせるよう養生していきます。

 下痢は漢方医学では泄瀉とか痢疾などといわれます。胃や小腸性のもので、便の回数はあまり多くなく、出ると気持がよくなるような下痢が泄瀉で、大腸炎などによる、1回の排泄量は少ないが回数が多く、出た後も腹がしぶって(裏急後重)、時に粘液や血便を出すものが痢疾といわれ、不消化の食物をそのまま排出するものは清穀下痢といわれます。
 また下痢には急激に起こる急性下痢と、症状は軽いが経過が長く反復する慢性の下痢とがあります。急性の下痢は主に湿邪(湿気による負担)、寒邪(寒さによる負担)、熱邪(熱にる負担)などの外因や、飲食不摂生、食傷(飲食により脾胃が弱る)などの不内外因で起こることが多くあります。これに対して慢性下痢は脾虚(脾の弱り)や腎虚(腎の弱り)、或いは食習慣の乱れなどにより、消化吸収機能が低下して、不調を起こす内因性のものが多くなります。

(例)
胃腸湿熱
 急性大腸炎やウイルス性によくみられる下痢で、急性に発症する水様性下痢で、烈しい腹痛腹鳴が伴うことが多くあります。
食傷
 食べ過ぎにより脾胃を傷つけ、脾胃がオーバーヒートを起こして熱がこもった状態で、その熱を抜くために身体の防御反応の1つとして下痢がおこります。胸やけ、腹痛、腹満、吐き気などを伴うことも多くなります。
脾虚
 脾胃虚弱で、冷え性体質の人は慢性の下痢を起こしやすく、冷飲食、生の食物、脂っ濃いもの、消化の悪いものなどを食べると悪化することが多くあります。
肝脾虚
 精神的ストレスや感情的興奮、不安感により肝の働き(疏泄作用)が悪くなると、肝気が滞り(肝鬱)、肝と相尅関係にある(漢方医学の五行説の考え)脾の働きが弱り、下痢や腹痛を起こしやすくなります。
症例
  
症例
17歳 男性 168cm 60kg
半年くらい前から、学校の授業中などに腹痛がして、下痢をするということが多くなりましたと相談をいただきました。
症状を伺ったところ、授業中には症状が起こるが、午後の部活の時間になると、嘘のように痛みは治まる。最近症状が悪化してきているため、病院で検査したところ、神経性の下痢と診断され安定剤の処方を受ける。精神安定剤を服用すると調子いいが、若いうちから精神安定剤を服用することに不安を感じているとのことでした。
投薬と養生
痩せ型で、色白、食が細く、元々胃腸の虚弱な脾虚体質に加え、受験勉強などのストレスで肝にも負担がかかり(肝虚)、胃腸の働きが更に低下して、このような症状を起こしたと考えられます。
そこで、脾を補い、胃腸の働きを整える漢方薬を中心に服用していただくことになりました。
また生活養生として、水分の摂りすぎを控え、特に身体を冷やすような冷たい飲み物や果物に注意してもらうようにしました。その他に香辛料や脂っ濃いものの摂りすぎにも気をつけていただくようにしました。

その後は徐々に下痢や腹痛の頻度が減り、安定剤の服用もせずにすむようになりました。また、表情も明るく元気になられ、集中力も出てきて勉強がはかどるようになったと喜んでいただけました。