妊活・更年期 プラレバーBB
五十肩
五十肩とは
五十肩とは、40歳代以後によく発生し、肩関節(肩甲上腕部)の痛みと運動障害を引き起こす病気です。五十肩と肩こりを同じものと考える方が多いようですが、この二つはまったく違うものです。肩こりは首のつけ根の筋肉の疲労が原因で起こり、五十肩は肩関節の周囲の炎症が原因で起こる疾患です。
原因は、はっきりとしていませんが、肩の使いすぎや老化による筋肉の衰えなどがきっかけとなって、肩関節の動き方のバランスが崩れると、関節の周りに炎症が起きます。これが神経を刺激することで激痛が発生すると考えられます。
痛みの特徴として、突然の肩関節の痛みを引き起こします。安静にしていても痛みは強く、夜間に疼いたりします。
痛みの範囲は肩にとどまらず、肩から腕にかけて痛みます。また、背中がかけない、衣服の脱ぎ着もできないなど、単なる肩の痛みとは言っていられないほど、日常生活に支障をきたします。
また、五十肩の不思議な特徴として、自然治癒があります。ほおっておいても自然に治っていきます。個人差はあるようですが、半年から2,3年かかるようです。しかしながら、安易に考えるとよくありません。痛みはとれますが、肩の動きは元に戻らなく、運動障害が残ったりします。適切な治療が必要になります。

治療
・ 痛みが非常に強い時
「安静」「患部の冷却」「鎮痛消炎剤の服用」が基本となっています。
安静にするために、三角巾をまいて固定すると、楽になります。
患部の冷却は、貼付剤を使用します。貼付剤の長期使用は、かえって逆効果になる場合がありますので、本人が「冷やして気持ちが良いか?」「温めて気持ちが良いか?」判断したほうが良いです。
鎮痛剤の服用として、非ステロイドの鎮痛剤が処方されます。それでも痛みが取れない場合は、座剤が処方されたり、局所注射剤のブロック注などが行われます。

・ 慢性の痛みのとき
「体操療法」「温熱療法」「薬物治療」が基本となっています。
体操療法として、院内でのリハビリや自宅での運動を指導されます。
温熱療法として、院内でのリハビリ、温感貼付剤が処方されます。この場合も、本人が「冷やして気持ちが良いか?」「温めて気持ちが良いか?」判断したほうが良い。
薬物療法として、長時間型の鎮痛剤が処方されたりします。
漢方では?
漢方では五十肩を肩関節炎と捉え、肩の神経痛と考えます。風寒湿の邪により、瘀血や腫張、気滞といった症状があるので、袪風・散寒・除湿・清熱・駆瘀血等の治法を運用していきます。

○風寒湿邪の場合
風湿寒の邪に外感して生じる肩の痛みには、これらの外邪が主に太陽、少陽経脈に進入して気血を凝滞させる結果、経絡の流通が阻害されて筋脈の拘急を生ずるものです。
代表処方:葛根湯・桂枝加朮附湯・葛根加朮附湯

葛根湯の目標
体格・・・普通・頑丈・体力ある・実証
汗 ・・・ない
頭痛・・・発熱時にはほとんど頻発する
大便・・・便秘はない
肩こり・・項から背中にかけて凝る。甚だしいときは痛む。時に痙攣する。

桂枝加朮附湯の目標
体格・・・冷え性・陰証
汗 ・・・汗がある・脱汗がある
小便・・・小便不利
手足・・・手足先が冷える・四肢屈伸困難
悪寒・・・寒がりである

○ 熱痺の場合
風湿寒の邪が長く関節に鬱積していると、風邪は火邪に変じ、寒邪は熱邪と化し、湿邪は痰となって熱痺や湿熱痺が形成される。関節は痛みと共に発赤し灼熱感があり、腫張疼痛が激烈である。患者の多くは、発熱や口渇を訴える。
代表処方:越脾加朮湯・桂枝芍薬知母湯

越脾加朮湯の目標
体格・・・実証で筋肉の緊張がよい
小便・・・小便不利
汗 ・・・自汗がある
口渇・・・のどが渇いて水を飲みたがる
浮腫・・・実腫である。

○ 湿痺の場合
風湿寒のうち湿邪が偏勝すると、湿邪が粘着停滞する特徴があるので、痛む箇所は固定する傾向が強く、関節の腫張疼痛と四肢の浮腫傾向、それに四肢が重倦いというのが特徴です。
代表処方:薏苡仁湯
     発汗解表と散寒利湿の効能が強い。関節腔、組織中に滲出液が停滞したのを吸
     収排泄し筋肉の緊張を緩和し、血行を改善することにより鎮痛消腫する。  
    
薏苡仁湯の目標
体格・・・普通または実証
血色・・・よい
肩 ・・・四十肩・五十肩の急性期に卓効
冷え・・・ない
手足・・・関節痛・筋肉痛・痛む・腫れる
胃腸・・・障害ない

○ 瘀血の場合
「久病は瘀血を生ずる」。邪が長く関節や経絡に滞積すると、気血が益々巡らなくなるので、局所は栄養されなくなり、疼痛あるいは知覚麻痺、甚だしい時は拘縮による運動制限や関節の変形を生じやすいです。また関節内には浮腫を生じるが、慢性化すると痰と化して硬く腫張します。このように病変が慢性化した関節炎は瘀血を主徴として、気血津液がすべて固く凝滞している場合が多いです。このような時は、強力に活血化瘀する駆瘀血剤が必要になります。
症例
症例
H24 1月下旬 男性 65歳 中肉中背 筋肉質
病院にかかり、五十肩と診断される。三ヶ月ほど通院するが痛みは痛み止めを服用するが、夜間の疼痛がある。腕も一向に上がらない。何とかならないかと相談。
話を良く聞くと、これと言って悪いところはない。身体も充実し、体力はある。
このことより、痛みが風湿寒の邪によって生じ、痛みが出て長いので瘀血を考え、風寒湿邪の場合と瘀血の場合の漢方薬を一か月分服用してもらうことにしました。
2月下旬に来店
痛みが無くなり、腕が少し上がるようになったと喜ばれました。もうしばらく、服用した方が良いことを伝え、現在も服用されています。H24/3/5