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梅雨の過ごし方

梅雨の過ごし方
今回は梅雨のお話に関係する条文を取り上げてみました。

① 湿痺の病
金匱要略 痙湿喝病脈証治第二
太陽病,關節疼痛而煩,脈沉而細者,此名濕痹。濕痹之候,小便不利,大便反快,但當利其小便。   
太陽病,間節疼痛して煩し,脈沈にして細の者,これ湿痺と名く。湿痺の候は,小便不利し,大便反って快よし,当に其の小便を利すべし。


太陽病・・・太陽の経が病んで
太陽小腸経→太陽膀胱経の衛気のめぐりが悪くなることで、小便不利となり、その水分は大便から出るようになるので、大便はゆるくなる。
衛気栄気の循環が悪くなることで、血流が悪くなり、節々に水が停滞する。
その為、湿による運動障害が起こり、湿痺の病となる。

「湿気が多い時に、クーラーなどでさらに冷えると、体表部が冷えて、気と血のめぐりが悪くなることで、関節などがいたくなるんですよ。」
② 衛気・栄気
霊枢 榮衛生會(えいえいせいかい)第十八

人受氣於穀, 穀入於胃, 以傳與肺, 五藏六府, 皆以受氣, 其清者為榮, 濁者為衛,

人は穀に於いて気をうけ、穀は胃に於いて入り、以って伝わって肺に與(あずける)。
五藏六府は皆が以って気を受け、其の清なるは榮を為し、濁なるは衛を為す。

人の気と申しますのは、飲食物から変化して生じたものであります。
食べ物が胃に入り、そこで消化吸収されますと、その気は肺に行って、そこから体内の五臓六腑に栄養物として供給されます。穀物から吸収された栄養物の中で、清らかなもの、比較的熱気の低いものを栄と申しますし、濁ったもの、比較的熱気の高いものを衛と称しております。

榮在脈中, 衛在脈外,・・・
・・・日中而陽隴為重陽. 夜半而陰隴為重陰. 故太陰主内, 太陽主外,

榮は脈中に在り、衛は脈外に在る・・・
・ ・・日中での陽は隴して重陽を為し. 夜半での陰は隴して重陰を為す。 故に太陰は内を主り、太陽は外を主る。
栄は経脈の中を流れるのに対し、衛は脈の外を運行します・・・
・・・衛気が陽経を運行するのに、正午は陽気が最盛の時であるから重陽という。また、陰の臓を運行するのに真夜中は陰気が最盛になる時であるから、重陰という。ゆえに、栄気が脈内をめぐる時は、手太陰肺経から始まって手太陰肺経に終ります。ゆえに、太陰経は内を司っています。衛気が脈外を巡るときは、足太陽膀胱経から始まって足太陽膀胱経に終わります。ゆえに太陽経は外を司っています。

難経 三十難曰.
榮氣之行.常與衞氣相隨不.
然.經言.人受氣於穀.穀入於胃.乃傳與五藏六府.
五藏六府皆受於氣.其清者爲榮.濁者爲衞.
榮行脉中.衞行脉外.
榮周不息.五十而復大會.
陰陽相貫.如環之無端.故知榮衞相隨也.

榮氣の行.常に衞氣と相隨うやいなや.
然り.經にいう.人は気を穀に受く.穀胃に入り.乃ち五藏六府に伝与す.
五藏六府は皆気を受く.其の清なるものを榮とし.濁なるものを衞となす.
榮は脉中を行き.衞は脉外を行く.
榮は周りてやまず.五十にしてまた大會会す.
陰陽相貫き.環の端なきがごとし.故に榮衞相隨をしるなり.

栄気は常に衛気と一緒に循環しているのか。
経に言われるは,人は気を穀に受け,そのために穀は胃に入り、そこから,五臓六腑に伝わる。
五臓六腑は皆気を受け,澄んだものは栄,濁ったものは衛となる。
栄は脈中を行き,衛は脈外を行く。
栄は休まず周り,五十にてもとに集まる。
陰陽を相貫いて,端の無い輪の如し。故に,栄気と衛気が相従えて行くを知る也。

栄気
飲食物からできている。
血を巡らせる気
肺気の力によって五臓六腑に行きわたり、筋骨を潤し、関節の働きをよくする。
清とは、陽気が少なくてさらさらした状態をいったものである。

衛気
飲食物からできている。
非常に活動的な気である。
経脈外を循環する。
毛穴の開閉を活発にして、身体を温めるが夜になると五臓六腑に入る。
濁とは、熱気が多くてどろどろした状態をいったものである。

「食べ物から得た衛栄の気が体をめぐっています。しっかりめぐっている時は、気めぐり、血めぐりよく毎日元気にすごせているのですが、湿度や温度などの要因で、めぐりが悪くなって、心身きつくなってきます。気血をしっかり巡らせることが大切です。そして、弱くなりにくいよい気血の為に、よい食べ物を選んでいくことも大切です。」

 

③ 痰飲病
金匱要略 痰飲咳嗽病脈証治第十二

其人素盛今瘦,水走腸間,瀝瀝有聲,謂之痰飲

其の人素(もと)盛ん今瘦せ,水腸間を走り,瀝瀝として声有り,之を痰飲と謂う。

病人が、前は丈夫で強健であったが、今は痩せて活気が無くなり、水を飲むと水が腹の中で動いて、ぴちゃぴちゃと水のしたたるような音がする感じのものを痰飲と言います。

水在心,心下堅築,短氣,惡水不欲飲。

水心にあれば,心下堅築して短氣す,水を悪み飲を欲せず。

飲んだ水が心のあたりにとどこおっていると、みぞおちの辺りが固くて絶えず押されているようで、呼吸が速く苦しく、水を嫌がって飲みたがらないのである。

夫心下有留飲其人背寒冷如手大

夫れ心下に留飲有れば、其の人、背寒冷なること手大の如し。

一般にみぞおちあたりに溜まっている水があると、その人の背中がこごえて冷たく、その広さは、ちょうど手のひらの大きさのようである。

素問 臓器法時論 二十二
脾主長夏。・・・・・脾苦湿。急食苦以燥之。・・・開腠理、致津液、通気也。
脾は長夏をつかさどる。・・・脾は湿を苦しむ、急ぎ苦を食して以ってコレを燥す。・・・腠理を開き、津液を致し、気を通すなり。
脾は夏の土用である長夏にその気が盛んになってすべてを主宰します・・・・・脾が病みますと、湿という症状に苦しむものであります。その場合は速やかに苦味のものを与えて、湿を燥かしてやる必要があります。・・・・治法は、皮膚の汗腺である腠理を開いたり、体液である津液が滞ったのを巡らせたりして、栄衛の気を滑らかに流通させるのが目的であります。
苦味の働きは、堅、乾堅作用があり、血脈を引締める働きがあります。脾の水が多くなりすぎている時に、血脈を引き締め、血の巡りを良くして、湿を抜いていく時の使い方です。
その苦味は、温性であるものが好ましく、実際に白朮や麻黄は温性の働きを持って水をさばきます。
白朮:苦温。脾・胃
   水をさばきその滞りを除きよく小便を調ふ。故に小便不利、小便自利を治す。不利は出工合悪きを謂ふ。又小便少なきをも言ふ。自利はよく出る者を言ふ。則ち出過ぎる者の事。小便の出が悪い筈なのに反って出の好い者の事も自利と謂ふ。小便が少なくて下痢する者、小便の出が好くて便秘する者、筋や骨の痛む者、めまひのする者、頭の重い者、胃がふくれて食進まず或は吐く者、朮のゆくべき場合には必ず小便の出工合を確むべし。
麻黄:苦温。 肺・膀胱
   よく表裏の水を逐ふ。故に汗を発し熱を解し喘を除き咳を鎮め、痛みを去り悪風寒を止どめ水気を消す。

金匱要略 痰飲咳嗽病脈證並治第十二
病痰飲者,當以溫藥和之。
痰飲を病む者は,当に之を和するに温藥を以ってすべし。
痰飲を病んでいる者は、当然温める薬で内の寒を和してやるべきである。
よって、苦温剤と、辛温剤で水を裁き温めることで、痰飲病を治療して行きます。

「体が弱った時などに、喉の渇きにかまけて、水分を取りすぎると、胃が冷え、かちこちに堅くなって動きが悪くなります。胃に水が溜まったちゃぽちゃぽした音を聞いたことありませんか?そうなったら、体も冷えてきて、さらに弱ってしまいます。
そんな時は、温める食材を多く取り入れてお過ごしください。」

よって、体の表面と、内側どちらも温めておくことで、梅雨時期に起こりやすい症状の緩和や予防が出来る事もお伝えしてゆきたいと思います。